PART 1PART 2




水玉模様


みんな
かさかさにかわいて
ひからびて
つかれて

生きてるのが
あんまり
楽しくないみたい

にんげんは
たいへんだね

あたし
六月の空から落ちる
雨の子供
ちいさな水玉

かたつむりも
猫も紫陽花も
ルリカケスも苔も魚も

あたしとおなじ
ふるさとから来て
この星に暮らす


にんげんは
自分たちだけ
とくべつだと
思い込んでるけど

デザインはちがっても
いのちのもとはひとつ

にんげんは
ちび水玉より
立派でなくちゃと
りきむのをやめると

いいかげんなようで
しっかり編まれた
宇宙のパズルが解けて

すこしだけ
幸福になれるよ








青いグラス


青く透きとおった
グラスの中に住みたい
ヒートアイランドの七月

世界がゆっくり滅びていく音を
聴かないですむように

誰もが耳をふさいで
コーラを飲み干している真昼

陽気な歌が欲しいの
不安を忘れて笑ってみたいの
つぶやくココロは
溶けかけた氷片よりもろく
アスファルトの反射に弾かれる

夏がキライになったのは
いつからだっけ
太陽の熱が疎ましく
なったのは

地球の中心から
ずれた場所に居て
ずれた刑罰を受け
ずれた愛を求めて
何も信じられなくなった
君と僕

子供の頃の輝く夏を
取り戻すことも
夢に過ぎないならば

海よりも空よりも青いグラスに
身を沈めて

自分が本当に欲しいものは何なのか
優しく冷えた前頭葉で
探り当てる時間が必要だ











サマータイム


あのね
夏は暑いので

僕はもう一生懸命にならない

誰かを愛さなくちゃいけないとか
悔いのない人生を送らねばとか
思わない

人から笑われないように
気をつけなきゃとか
かっこよくクールでありたいとか
考えない

大きな家に住んで
ベンツを乗り回したいとか
人ごみにもまれて海外旅行とか
やりたい人はやればいい

理想の恋人とやらを
あくせく捜しまわったり
偽者の友達と時間をつぶして
よけい疲れたり
したくない

いろんなことが
僕が本当に
したかったことや
欲しかったことではなくて

世間と呼ばれるものが
常識と名づけられたものが

僕にも有無を言わせず
プレッシャーかけてたって
だけのこと

自分の幸福は
みんなと同じものでなくていい
そう確信したら
カラダがうっとり溶けてく

そして夏は

ひとりでゆっくり
眠るためにあるんだ

おやすみ









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